第2節 スケールアップに向けた課題
前節では、成長する中小企業が我が国経済に与える影響について確認し、中小企業がスケールアップを実現していくことの重要性を明らかにした。本節では、スケールアップを実現するために乗り越えるべき課題(以下、「成長の壁」という。)とその打開策について、分析していく。
第1項では、経済産業省「企業活動基本調査」
を用いて、スケールアップを実現した企業の財務指標等を概観していく。
第2項では、アンケート調査を用いて、スケール別の「成長の壁」を明らかにするとともに、それを打破するための有効な打ち手について分析を進める。
1. スケールアップ企業の実態把握
本項では、経済産業省「企業活動基本調査」のパネルデータ 25 を用いて、スケールアップを実現した企業の財務指標等を概観し、その特性について確認していく。
①中小企業におけるスケールアップの達成状況
最初に、2013年度から2022年度までの10年
間における中小企業のスケールアップの達成状況について確認していく。
第2-2-6図は、スケール別の企業数を見たものである。例えば、売上高「100億円以上」の企業数に着目すると、2013年度では1,594社であったが、2022年度では1,970社となっており、376社増加していることが分かる。
第2-2-6図 スケール別の企業数
(単位:社)
|
売上高規模
(スケール) |
企業数 | |||
|---|---|---|---|---|
| 2013年度 | (割合) | 2022年度 | (割合) | |
| 10億円未満 | 1,115 | (10.3%) | 1,053 | (9.7%) |
| 10億円以上~20億円未満 | 2,315 | (21.3%) | 2,083 | (19.2%) |
| 20億円以上~30億円未満 | 1,681 | (15.5%) | 1,591 | (14.7%) |
| 30億円以上~40億円未満 | 1,161 | (10.7%) | 1,179 | (10.9%) |
| 40億円以上~50億円未満 | 887 | (8.2%) | 872 | (8.0%) |
| 50億円以上~60億円未満 | 671 | (6.2%) | 638 | (5.9%) |
| 60億円以上~70億円未満 | 488 | (4.5%) | 477 | (4.4%) |
| 70億円以上~80億円未満 | 356 | (3.3%) | 401 | (3.7%) |
| 80億円以上~90億円未満 | 321 | (3.0%) | 311 | (2.9%) |
| 90億円以上~100億円未満 | 265 | (2.4%) | 279 | (2.6%) |
| 100億円以上 | 1,594 | (14.7%) | 1,970 | (18.1%) |
| 総計 | 10,854 | (100.0%) | 10,854 | (100.0%) |
資料:経済産業省「企業活動基本調査」再編加工
(注) パネルデータを基に算出している。パネルデータの詳細は、第2部第2章第2節冒頭の脚注を参照。
25 2014年調査(2013年度実績)から2023年調査(2022年度実績)まで連続して回答している企業を抽出したもの。なお、2013年度実績において、以下のいずれかに該当する企業は除外している。
- ・中小企業基本法上の中小企業に当てはまらない企業
- ・「親会社の証券コード」が空欄でない企業(親会社が上場している企業)