⑧まとめ
本項では、アンケート調査を用いて、スケール別の「成長の壁」を明らかにするとともに、「成長の壁」を克服してスケールアップを実現するために有効と考えられる取組等について確認した。売上高10億円未満の事業者において、重視する組織・人材戦略の特徴は、「経営者の兼務解消・権限委譲」、「その他専門的な人材の確保・育成」であり、経営者一人で経営することの限界が「成長の壁」の一つであることが示唆された。専門人材の確保に当たっては新規採用に加え、社内で育成することも重要であるとの仮説に基づき、人材育成の取組とスケールアップの関係性を確認すると、人材育成の取組を増やした事業者は増やしていない事業者よりもスケールアップを実現した割合が高いことが示され、人材育成の取組が経営者に足りないスキルを補う人材の確保につながり、経営
者一人で経営することの限界という「成長の壁」の打破につながる可能性があることを確認した。
一方、経営課題のうち「ガバナンスの強化」については、比較的大きい事業者における課題の一つであることが示唆された。ガバナンスの強化に当たっては、取締役会の設置や社外取締役の登用といった体制面の整備を進めることに加え、「従業員への経営理念・ビジョンの共有」といった経営の透明性を高めるための取組が重要である可能性を示した。
また、経営課題を解決するための支援や助言を担う支援機関を活用することも売上高を高めるために有効である可能性を示した。
事例2-2-3では、支援機関を活用することで、組織変革と製造現場の見直しといった課題を克服し、成長した企業の事例を紹介する。