第3節 スケールアップに向けた投資行動と海外展開
前節では、スケールアップを実現した事業者の財務指標とその特性、スケール別の経営課題を概観しながら、スケールアップの実現に向けて有効な取組について、主に組織・人材戦略等の観点から確認してきた。本節では、スケールアップを実現するための手段として、設備投資、M&A、研究開発・イノベーション活動といった投資行動と海外展開に焦点を当て、その実施状況や効果等について確認していく。
第2-2-41図は、企業規模を拡大するに当たっ
て、重要と考えている投資戦略について、スケール別に確認したものである。これを見ると、「設備・拠点の新設」、「M&A(水平・垂直)」、「M&A(多角化)」、「輸出の開始・拡大」は、スケールが大きくなるほど回答割合が高くなる傾向にあり、将来的に100億企業を目指すに当たっては重要性が増す投資行動であることが示唆される。一方で、「既存設備の更新」、「研究開発」はスケールの大小にかかわらず、一定程度重視されていることがうかがえる。
第2-2-41図 企業規模を拡大するに当たって、重要と考える投資戦略(スケール別)
| 投資戦略 | 10億円未満 (n=12,784) | 10億円以上~50億円未満 (n=5,186) | 50億円以上~100億円未満 (n=823) | 100億円以上 (n=508) |
|---|---|---|---|---|
| 既存設備の更新 | 41.6% | 42.6% | 41.3% | 44.3% |
| 設備・拠点の新設 | 30.9% | 35.8% | 38.8% | 37.4% |
| 研究開発 | 13.1% | 15.5% | 15.1% | 14.4% |
| M&A (水平・垂直) | 10.5% | 19.3% | 24.2% | 27.2% |
| M&A (多角化) | 6.7% | 10.1% | 10.3% | 13.2% |
| 輸出の開始・拡大 | 4.8% | 7.2% | 10.1% | 14.2% |
| その他 | 9.9% | 10.5% | 9.8% | 6.9% |
| 特にない | 18.9% | 10.8% | 7.7% | 6.9% |
資料:(株)帝国データバンク「令和6年度中小企業の経営課題と事業活動に関する調査」
(注)1.複数回答のため、合計は必ずしも100%にならない。
2.自社の経営方針について、「売上拡大」、「利益拡大」と回答した事業者に聞いたもの。
3.ここでのスケールは、直近(1期前)の売上高に基づいて集計しており、1期前において「事業を開始していない」と回答した事業者は集計から除いている。
4.ここで「M&A(水平・垂直)」とは、同業種の企業(水平統合)又は商流の川上や川下企業(垂直統合)を対象とするM&Aのことを指し、「M&A(多角化)」とは、異業種の企業を対象とするM&Aのことを指す。