コラム
1-1-6
中小企業における生産性向上に向けた投資支援策
(IT導入補助金、省力化投資補助金)
1. 中小企業における人手不足対策の必要性
我が国の足下の生産年齢人口(男性・女性)、高齢者の労働参加率はいずれも世界最高水準であることから、新規の労働参入が頭打ちとなっている可能性があり、少子高齢化等を背景とした構造的な人手不足が生じている 53 。こうした背景から、企業の人員確保は年々厳しくなることが予想される。
近年の従業員数過不足DI 54 の推移を見ると、2020年前後の感染症の感染拡大以降、中小企業の人手不足感は高まっている。また、2024年には人手不足による倒産が過去最多件数を記録した 55 。したがって中小企業にとって、短期的にも中長期的にも「人手不足にどのように対応するか」が重要な経営課題となっているといえる。
こうした労働供給制約が高まる状況下において、人手不足に対応する方法の一つとしては、デジタル投資による効率化や、設備投資による自動化・機械化を通して、企業の生産性を向上させることが考えられる。
そのため中小企業庁では、IT導入補助金や省力化投資補助金等の支援策により、前向きな企業のデジタル投資や設備投資を後押しすることで、人手不足を乗り越える経営基盤と意欲を持った企業の創出を促している。本コラムでは、こうした支援策の概要について解説する。
コラム
1-1-6①図
主要国間での労働参加率の比較
| 年 | 性別・年齢 | 日 | 米 | 英 | 仏 | 独 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1990 | 男性 (15~64歳) | 83.0 | 85.6 | 88.3 | 75.6 | 79.0 |
| 女性 (15~64歳) | 57.1 | 67.8 | 67.3 | 58.0 | 55.5 | |
| 高齢者 (65歳以上) | 24.3 | 11.8 | 5.6 | 2.4 | 3.0 | |
| 2000 | 男性 (15~64歳) | 85.2 | 83.9 | 84.1 | 75.1 | 78.9 |
| 女性 (15~64歳) | 59.6 | 70.7 | 69.0 | 62.4 | 63.3 | |
| 高齢者 (65歳以上) | 22.6 | 12.9 | 5.3 | 1.3 | 2.7 | |
| 2010 | 男性 (15~64歳) | 84.8 | 79.6 | 82.4 | 74.7 | 82.4 |
| 女性 (15~64歳) | 63.2 | 68.4 | 69.7 | 65.4 | 70.8 | |
| 高齢者 (65歳以上) | 19.9 | 17.4 | 8.3 | 1.6 | 4.0 | |
| 2022 | 男性 (15~64歳) | 86.7 | 79.1 | 81.9 | 76.6 | 83.4 |
| 女性 (15~64歳) | 74.3 | 69.0 | 74.8 | 70.7 | 75.4 | |
| 高齢者 (65歳以上) | 25.6 | 19.2 | 11.1 | 4.0 | 8.5 |
資料:経済産業省「産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 第3次中間整理 参考資料集」(2024年6月)
(出所)OECD.stat
53 (株) リクルート リクルートワークス研究所(2023)は、2030年に約340万人の労働力不足が見込まれるとの推計を発表している。
54 詳細については、第1部第1章第3節 第1-1-22図を参照。
55 詳細については、第1部第1章第8節 第1-1-61図を参照。