事例
2-2-5
従業員との対話を通じた経営統合の取組により
M & Aを成功に導いた企業
所在地 静岡県富士市
従業員数 127名
資本金 7,000万円
事業内容 設備工事業
サンコー防災株式会社
▶ 静岡を地盤に消防用設備施工・保守事業を展開
静岡県富士市のサンコー防災株式会社は、消防用設備の施工・保守、各種防災機器の販売を担う企業である。同社は消防設備点検の有資格者である消防設備士を多く有しており、県内に10営業拠点を構えている。県内及び一部隣県の官公庁や民間企業と4,000件を超える保守契約を結んでおり、豊富な人材と高い技術力で顧客の信頼を築いてきた。しかし、1962年の創業以来、着実に事業を展開してきた一方で、売上げの過半を占める施工業務は、工場やビルの新規建設数に依存しており、近年これが減少傾向にあることに伴い、商圏の拡大と、施工業務のほかに安定して売上げを確保できるビジネスの創出が課題となっていた。
▶ 商圏を広げるために同業他社をM & A。従業員との対話を通じた経営統合の取組によりM & Aを成功に導く
商圏の拡大に向けて、同社の鈴木文三社長は常にその機会をうかがってきた。2022年5月に仲介会社から、同業他社である静岡防災株式会社(同県伊東市)のM & Aを提案され、同年7月には実施を決意。M & Aに当たって、鈴木社長は丁寧な経営統合に取り組んだ。まず、静岡防災の全従業員と個別面談し、仕事や家族、社内の人間関係、悩み事について丁寧にヒアリングを行った。中には子会社となることに不安感をじませる従業員もいたが、面談を通じて個々の考え方や社内での立ち位置等を把握し、資質や適性を考慮してグループ内での人材交流も行い、働きやすい環境を整えた。M & Aの結果、営業拠点の共有により、取引先ごとに効率的な拠点運用が可能になるといったシナジー効果が生まれた。また、鈴木社長による丁寧な経営統合の取組により、静岡防災では従業員の退職は発生せず、業績面でも営業利益が前期比約200%へと成長した。「買収先の社員の士気を高めることが、M & Aのポイントと考えていた。個々の社員との対話を通じて、考えを理解し、意思を尊重することが良い効果をもたらしたのではないか」と鈴木社長は振り返る。
▶ M & Aの経験をいかし、新たにIT会社を傘下に
さらに同社は、グループのDX強化を狙い、2024年9月にシステム開発・メンテナンス等を手掛ける株式会社ビーエス静岡(同県富士市)を新たに買収。今後は消防用設備のリモートメンテナンスなどの新事業展開にもシナジーを波及させていく方針だ。また、鈴木社長は静岡防災とのM & Aの経験をいかし、東京中小企業投資育成株式会社の支援を受けながら経営統合に取り組んでおり、今回も同様に、ビーエス静岡の全従業員との面談に臨む意向である。「買収先の社員との丁寧な対話によって士気を高めることができれば、多少の困難はあっても、M & Aはうまくいく」と鈴木社長は語る。
鈴木文三社長(左)と静岡防災株式会社 遠藤英敏会長(当時社長)(右)
鈴木文三社長(右)と株式会社ビーエス静岡 古屋学社長(左)
消防用設備の点検作業現場